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2007年2月28日 (水)

「全青司」この運動から得たものを正しく継承したい~次のバトンを握るのは誰か~

 全国青年司法書士会(以下「全青司」という)は、常に、市民・国民の立場に立って存在し、社会的・経済的弱者の声を代弁していくことを標榜してきた。もちろん、その活動には限界があるものの、一定の分野においては、すべての法律家団体の中でも最前線の実績を残してきたと思う。そして、その一つがこの「出資法金利引き下げ運動」である。

 全青司は、先人の努力により、早くからこの多重債務問題に深く関わってきた。すなわち、自己破産手続きや調停手続きの書類作成業務を基本として、法的ケアや弁済の履行の支援のみならず、各地に存在する「被害者の会」を通じてなど、多重債務に陥ってしまった方々の生活再建にかかる全般的な相談にも応じてきたのである。

 それらの経験を通じて、全国の多くの司法書士が、この多重債務問題は多重債務者個々の問題ではなく、社会に深く根を下ろした極めて深刻な社会問題であるということを知らされたのだと思う。

 そして、この事実を知った司法書士の心の内に、この問題の要因となっている様々な要素を是正するための運動に関与するべきである・・・・という当然と言えば当然の考え方(この運動に関わった全国の多くの司法書士に共通した意識ではないだろうか)が着実に根付き、今回の運動の大きな原動力になったものと思える。

 さて、この「出資法金利引き下げ運動」であるが、当初から私の考えは決まっていた。これを引き下げるべきであると。これが、長くこの分野に取り組んできた現場の法律実務家としてのシンプルな結論であった。従って、早くから結成された「全国高金利引き下げ全国連絡会議(井口鈴子事務局長)」にも、全青司として積極的に参加し、弁護士団体を含む諸団体との連携についても積極的に考えていた。この辺りの詳細については、資料編に収録されている月報全青司に連載していた拙稿「現場の声を法改正へ!出資法上限金利引き下げに関する運動の歩みと到達点~机上の理論とアメリカの圧力を跳ね飛ばせ!~をお読みいただきたい。

 一方、これに反対する勢力は大きく、その理由は、主として「①金利は市場経済に任せるべきで規制の対象とするべきではない」「②金利を下げることによって、中小のサラ金業者の経営が立ち行かなくなる」「③金利を下げることによって、業者はハイリスク層に貸すことが不能となり、クレジット・クランチが起こる」「④貸付けすることができない業者が増えることによって、顧客はヤミ金融に流れる」といったものであり、それはそれで規制緩和論者にとっては説得力のあるものであったと思う(もちろん、現場の感覚から言えば、机上の空論と考えざるを得ない反論も多かったのは事実であるが)。

 例えば、③④について考えれば、当初から、私も瞬間的には起こりうるものと考えていた。ただ、そのような利用者は、既に多重債務状態に陥っていることが容易に推測できるわけであるから、法律家による債務整理が即座に受けられるような体制作りをすべきであると思うし、まさにその役割を全青司が担うべきであろう。今でもその考え方に変わりはない。

 いずれにせよ、反論にはきちんと耳を傾けるべきであることは言うまでもなかろう。反論に対する再反論により議論が成熟することは、何もこの問題に限った話ではない。

 この運動に参加した全青司会員は、おそらく何百名という数になるだろう。中央で運動をリードした対策本部の面々だけが運動に関わったわけではない。各地域において、地方自治体における意見書採択に奔走してくれた会員も、まさにこの運動の当事者である。そうした会員に対しても最大級の敬意を表したいと思う。

 この運動を経て、全青司はまた一回り大きな法律家団体となったと感じる。それは決して対外的な評価ということではない。全青司という組織の足腰が鍛えられたという意味である。各地方の単位青司協との連携や諸団体との連携、そして、理解ある国会議員との連携、その全てが全青司を成長させてくれたと思う。その意味においては、今後の全青司活動が楽しみであるし、期待したいと思う。

 平成18年10月17日、日弁連主催の1000人パレードには、全青司会員のみならず、全国から300人を超えるであろう司法書士が駆けつけた。贔屓目からかもしれないが、私は労働者団体の次に参加者が多かったのが司法書士であったと信じている。そして、大部孝会長を支えようと、お揃いの青いTシャツを着て、青いノボリを持って、決意表明をする大部会長の後方に集まった対策本部のメンバーの自信に満ちた清清しい表情を私は忘れることはないだろう。

 一方、全青司のこの運動は、残念ながら報道されることが少なかった。しかし、私は、これも贔屓目からかもしれないが、全国の地方自治体における金利引き下げの決議こそ、この運動の方向性を決めた最大の要因であったと思うし、これを支えたのが全国に存在する全青司会員であったと確信している。また、金融庁と自民党による改悪案が出された後の対策本部の動きも、大きな原動力となったと思っている。具体的に言えば、抗議のビラ撒きや徹底した国会議員対策などである。大部会長を筆頭に、稲本信広本部長代行を中心とする九州の会員の熱心な活動には本当に頭が下がる思いだった(もちろん、これに参加した関東のメンバーに対しても同様の思いであるが)。 このような全青司の活動には、心より敬意を表したいし、前会長として誇りに思っている。

 本書は、この全青司の運動の歴史を、次世代の司法書士に正しく継承することを目的として編集されている。10年後の司法書士が本書を目にしたとき、どう感じるのだろうか。気の早い話で恐縮だが、私はその感想を聞きたい。現場に生きる司法書士として、様々な社会問題にどう関わっていくべきか、その一つの答えが本書には存在する。本書を読んだ司法書士は、間違いなく、私たちからバトンを受け取ることになるのだ。その受け取ったバトンを是非しっかりと後輩に受け継いで行ってほしい。

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