「クレディア民事再生申立に関する諸問題」⑨
まだ脱線中・・・・
なぜSPCが不可欠なのか・・・それは、オリジネーターから原債権を譲り受け、それを裏づけとして投資家に証券等を発行する媒体であり、倒産隔離措置を確実にするために・・・ということであります。つまり、SPCは、この有価証券を発行するためだけに存在するペーパーカンパニーということであります。
一方、投資家は、その有価証券を購入するなどによって資金を提供し、信用リスクや資産価格の変動リスクを負う・・・・現状では、保険会社や金融機関などの機関投資家がほとんどのようであります。
そして、その証券化商品を格付けする機関も、重要な役割を果たしています。日本では金融庁が指定格付け機関を定めており、2006年現在、指定されている格付け機関は以下の五つです。ムーディーズ、スタンダード&プアーズ(S&P) 、フィッチレーティングス 、
格付投資情報センター(R&I) 、日本格付研究所・・・・
クレディアの貸付債権も格付けされており、それは最高レベルだったようです。もちろん、格付機関も投資家も、不当利得返還請求のリスクについては熟知しており、その上での評価であるようです。
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コメント
SPCは通常、貸金業債権、キャッシング債権の証券化では譲受人として利用されていません。
理由はさまざまですが、一般的なところでは、通常のローン証券化の標準的な方法が信託を譲受媒体にするからというもの。
SPCに譲渡すると原因が売買になりますので、対価を明確に決める必要が生じます。通常超過担保をとるので、クレディアの場合、取引から125~130%とみられます。たとえば、金利引きなおし前の債権元本総額を125億円とした場合、証券化で調達する100億円を譲渡代金として受領したとき、残り25億円を受領しなければ、売却損を認識しなければなりjません。そこで、この金額を延払い債務として、証券化の期中を通じて、ある時払い、ある金額払いとして、支払ったとすれば、帳簿上、SPCに対して貸付を認識し、一部を金利として区分することになります。
そして、125億円全額の債権について、支配を放棄し、譲渡債権について何の権利もないとする。登記上も、全部の債権について、売買を理由に移転する。
SPCには、利益を残すと税金が発生しますので、損益ゼロにしないと、証券化の経済的動機がなくなります。
ここで証券化にかかる投資家金利を年3.5%、SPCの事務費用などの発行関係費用総額を年0.5%、貸倒損失を年間12%とすれば、
初年度の125億円のSPC財産からの収入=125x29.2%(年金利収入)x92%(延滞による未収を除いた正常債権)=33.58億円
SPC資金調達関係費用=100x4%+25x0.5%=4.125億円
SPC財産の損失=125x12%=15億円
SPC費用合計=15+4.125=19.125
SPC収益=33.58-19.125=14.455億円
初年度延払い債務の金利=14.455/25=57.82%
1年経過後、残存債権額 125-125x12%=110億円
2年経過後、残存債権額 110-110x12%=96.8億円
すなわち、2年後には、延払い債権を返済しようとしても、すでに返済できる債権が消滅しているので、債務免除してもらう他なくなる。他方譲渡者には、すでに、延払いの金利の受領により、元本相当額の返済は受けているので、譲渡者には元本返済を受けたにもかかわらず利益がうまれ、打ち消す損金がなければ納税義務が生じる)る。また債務免除益25億円が発生してしまう。
SPCに利益が発生すれば、納税しなければならないので、全部を払い出す必要があるが、金利であれば費用認識できるが、延払い債務の元本返済として支払って、費用認識できなければ、税金が生じる。
そこで、元利金を区分しない信託をつかえば、信託収益から現金ベースで分配金を自由に使えるようになる。
したがって、SPCでは使い勝手が悪く、税務上の無理な技巧をこらす必要が生じるので、信託を使うことになる。
もうひとつ重大な点は、延払いのような債務免除するような取引で、すなわち対価が不確定な取引で、売買が完全になされたかという疑問が生じる。125億円を担保にいれて、100億円調達したとみなされたら、倒産処理手続きでは、手続き内で更生担保権者としか扱われないので、投資家は支払いについて影響を受ける。これでは格付を受けられないことから、SPC利用のそうした問題をどう解決するかが課題だが、信託だと、その技巧的必要性をなくせる。
なお不動産のREITでは、会社に生じる収益の一定比率、たとえば90%を払いだしてしまえば、課税義務がなくなるといった税務処理がなされることができるようにしてある。
投稿 新央誠一 | 2007年10月27日 (土) 12時04分
信託銀行が権利帰属主体となる場合の問題点として、銀行法の適用会社であるので、貸金業登録は不要となります。ただし金融庁の監督に服すことになる。
信託銀行が29%の金利を請求することが容認されるかについては、証券化の証券発行の取引弁護士、信託銀行の顧問弁護士から、問題なしという意見と、コンプライアンス上、不安であれば、当然にして、金融庁の処分しないという意見を取得しているでしょう。
なぜ信託銀行が29%を請求できるか。みなし弁済があれば、可能ということになりますでしょうか。
もうひとつ、信託銀行は受託者であり、信託財産に法的主体性がないことから、受託者が信託財産に法律行為の結果を帰属さしめようとすれば、自分で信託財産の権利主体とすることになります。法人が犠牲される会社では、会社財産と事務執行をする代表取締役が別々の人格になり、命令指揮と財産体が別になりますが、信託では受託者と財産体が同一になり、受託者の行為の法律効果の帰属は、外形上受託者に帰属し、内部的に受託者により特定の信託に割り振られる。
受託者は、自分が経済的利益を受益していないし、別に受益者がおり、受託者はただ事務委任の手数料しかもらってないし、受益者のための借り腹なので、信託行為(信託契約)により、29%請求できることになるのでしょうか。
だとすれば、受益者に銀行が含まれる場合にはどうなるか。銀行が信託財産の実質的保有者が銀行となるわけ、貸金業を営んでいないのに、借り腹で、貸金業を営んだ利益を食んでいることになる。
信託銀行が、事務の執行者として、みなし弁済を確認することなく、何ゆえ、金利引きなおし計算しないで、29%を請求し続けることができる法的根拠は、不明です。
証券化の証券の取引顧問とは、よく社債や投信の目論見書の1ページ目に弁護士の名前がありますが、それのことです。
投稿 新央誠一 | 2007年10月27日 (土) 17時40分