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2007年11月15日 (木)

日司連「金融庁に対する貸金業者の民事再生手続等への対応に関する要望書」

金融庁 監督局 金融会社室 御中

                                    平成19年11月12日

                                日本司法書士会連合会

         貸金業者の民事再生手続等への対応に関する要望書

 以下の各問題点につき、御庁において必要な調査をされたうえ、適切な処置をされるよう要望する。

 はじめに

 本年9月21日東京地方裁判所において株式会社クレディア(以下「クレディア」という)の民事再生手続開始決定(平成19年(再)第169号)がなされた。クレディアは、日本全国に顧客を持つ、上場している貸金業者であり、クレディアから開示された情報によるとその口座数は16万4,721口座(本年9月末日現在)とのことである。現在、全国の司法書士会が主催する相談会においても数多くの相談が寄せられている。
 司法書士には「国民の権利の保護に寄与すること(司法書士法第1条)」が求められており、当連合会は、全国の司法書士会と連携して利用者の権利擁護のためにこの問題に全力で取り組んでいる。
 さて、顧客からの相談や各地の司法書士会からの情報によると、クレディアの民事再生手続には銀行法、貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業規制法」という。)等に照らしていくつかの重大な問題点が存在すると考えられる。そこで、以下の各問題点につき、御庁において必要な調査をされたうえ、適切な処置をされるよう要望する。
 クレディアのように全国に多くの顧客を持つ貸金業者の倒産手続きは、今後も続くものと予想される。クレディアの民事再生手続はそのリーディングケースとして非常に重要な意味を持つものと思われる。今回の民事再生手続が以下の問題点を置き去りにしたまま進行すると、今後のケースにも同様の処理がなされる可能性があり、顧客の混乱が続くことは容易に想像できる。その点を配慮したうえで、速やかに対処されることを要望する。

第1 新生信託銀行への信託を原因とする債権譲渡に関する問題点

(1)債権譲渡された債権について、譲受人たる新生信託銀行の、クレディアの顧客に対する貸金業規制法第24条第2項所定書面交付について
 クレディアは、顧客に対する債権を、ABS(資産担保証券)による債権流動化を行うため、平成15年以降、新生信託銀行に信託を原因として債権譲渡(以下、「信託譲渡」という。)している。信託譲渡も債権譲渡の一類型であることから、譲受人たる新生信託銀行は、貸金業規制法第24条第2項に基づく所定の事項を記載した書面を顧客に交付しなければならないところ、このような書面が交付されたという情報は今日まで確認できていない。また、債務者への通知は債務者への対抗要件とされており(民法第467条1項)、債務者は当該通知を受領して初めて債権の帰属先を了知することとなる。
 もし、上記書面を顧客に交付していない場合は、クレディアには法令違反(貸金業規制法第24条2項)があることになり、また、顧客は債権の帰属先を知ることができず、多大な混乱を招くことになりかねない。

(2)債権譲渡後において、新生信託銀行が、利息制限法所定の利率を超過する利息を受領することについて
 クレディアは、利息制限法所定の利率を超える利率により貸付を行い、弁済を受けてきたが、新生信託銀行に債権が譲渡された後もこの利率は変更していない。信託銀行が利息制限法所定の利率を超える利率による貸金を譲り受け、利息制限法超過利息の弁済を受けることは、銀行法第1条の趣旨および昨今のみなし弁済を否定する判例を鑑みれば、銀行の業務の公共性から許されない。

(3)譲渡後の債権回収を行っていたクレディアの、債権管理回収業に関する特別措置法所定の許可の有無について
 「債権管理回収業は、法務大臣の許可を受けた株式会社でなければ、営むことができない(債権管理回収業に関する特別措置法第3条)。」とされているが、クレディアは新生信託銀行の委託を請けて、譲渡以前と同様に顧客からの債権回収業務を行ってきた。クレディアが同法所定の認可を受けていない場合は、クレディアが行っていた債権管理回収業務は、法令違反の行為となる。

第2 信用情報機関への情報登録に関する問題点

(1)過払金が発生している債権について「契約見直し」情報を登録するべきではないこと
 報道によると、全国信用情報センター連合会(以下、「全情連」という。)は、御庁の要請を受けて、過払金の返還を求められた場合に登録する情報を従前の「債務整理」の中から「契約見直し」という分類を新たに設け、その項目に登録することに変更したとのことである。また、「契約見直し」という分類はいわゆる事故情報の扱いはされず、異なる信用情報機関間での情報交流は行われないとのことである。
 しかし、そもそも過払いが生じている場合、利用者が借り入れていた債務は既に完済されている状態であり、何らかの情報を登録する必然性はない。また、テラネットに加入している金融業者・信販会社等は事故情報でなくても、その登録情報を知ることができる。信用情報機関の登録情報は一般的に借り入れやローンの与信審査に対して大きな影響を与えていると思われる。したがって、信用情報機関は民間の機関とはいえ、多くの国民の経済的信用を左右する立場にあるといえる。たとえ事故情報扱いではなくても、登録された「契約見直し」情報は、照会した貸金業者等の与信審査に対して影響を与える可能性は否定できない。そのような事態が一般化すれば、顧客の利益(経済的信用)を不当に侵害することになり、許されないと考える。

(2)クレディアの民事再生手続きにおける信用情報機関への情報登録について
 クレディアの民事再生手続きに関しては、公正な資産評定や債権者平等の観点から全ての貸金債権について利息制限法の引き直し計算を行うべきと考えるが、現在のところ、クレディアは顧客からの取引履歴照会があった場合を除いて引き直し計算を行わない方針である。そのためクレディアの顧客は、自らが過払債権者であることを認識する機会さえ与えられない者が多いと考えられる。
 このまま再生計画案認可決定が確定すれば、履歴開示請求及び債権届出をしなかった多くの利用者(過払債権者)の権利が切り捨てられることに加え、それらの未だ自らが債権者であることを認識していない過払債権者が約定利息に基づく返済を延滞することがあれば、「延滞」の事故情報が登録されてしまうことになる。一方、債権届出を行った過払債権者であっても約定どおりの返済を継続しなければやはり「延滞」の事故情報が登録されてしまうことになる。
 したがって、債権届出の有無を問わず過払債権者が不利益を被らないよう、クレディアとその全ての顧客との取引について、「延滞」をはじめとする一切の事故情報の登録を凍結すべきと考える。

以 上

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