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2008年3月 7日 (金)

全青司「市役所職員がヤミ金融に対して生活保護受給者名簿を漏洩した事件に関する会長声明」

 市役所職員がヤミ金融に対して生活保護受給者名簿を漏洩した事件に関する会長声明

                                 全国青年司法書士協議会
                                     会 長  伊見 真希

 私たち全国青年司法書士協議会は、全国の青年司法書士約2,800名で構成する「市民の権利擁護及び法制度の発展に努め、もって社会正義の実現に寄与すること」を目的とする団体である。当協議会は、日頃より多重債務問題の抜本的解決に取組み、ヤミ金融事犯撲滅を目指して被害者救済活動をしている現場の法律家として、市役所職員がヤミ金融に対して生活保護受給者名簿を漏洩した事件に関し、以下のとおり声明を発表する。

 平成20年2月11日、ヤミ金融から借入をした人吉市福祉課の職員が、市内の生活保護の受給者名簿245世帯286人分をそのヤミ金融に提供していたことが発覚した。漏洩された名簿が、ヤミ金融の手に渡れば、生活困窮者を食い物にする違法貸付(超高金利罪など)が横行することは容易に想像がつく。

 政府は平成18年12月、深刻化する多重債務問題を総合的に解決するため、内閣府に「多重債務者対策本部」を設置し、平成19年4月20日「多重債務問題改善プログラム」を策定した。同プログラムにおいては、「市民への接触機会が多い地方自治体の相談窓口における対応を充実し、遅くとも平成21年末には、全国どこの市町村に行っても適切な対応が行われる状態となることを目指す」とされている。

 つまりこのプログラムでは、多重債務問題に対する自治体の取組みが大きく期待されている。この取組みは、住民の福祉の増進を図ることを目的とする地方自治体の存在意義にも適うものであり、地域社会全体の安全・安心も確保されるものである。すなわち、今こそ各自治体に相談窓口の整備・強化が求められているのである。

 このような状況のなか、市職員による前記の事件が発生したことは大変残念なことであり、同時に自治体による取り組みの不十分さを物語るものである。

 市によると、生活保護を担当するケースワーカーである職員は、消費者金融への返済が滞り、昨年5月に初めてヤミ金融から2万円を借り入れたところ、1週間ごとに1万5000円を利息(年利3900%)として強要され、弁済代わりに名簿を渡せと要求された。その後は名簿漏洩で脅され金員を不当に要求されていたという。自治体は、借金問題を誰にも相談することが出来ずに、弁済のための借入れを繰り返し、ヤミ金融からの借り入れ、ついには今般の不祥事へと辿りついてしまう多重債務社会の現状を直視すべきである。

 全国の自治体はこのような不祥事の再発を防止することはもちろんのこと、この事件を機に多重債務が社会問題であること、この問題が発端となって犯罪や生命など多岐に致命的な影響を及ぼすことを意識すべきで、さらに各自治体はこの問題がまさに市民の人権問題であると再認識し、相談体制等の取り組みを強化すべきである。

 本事件を機に当協議会としては、改めて多重債務問題の抜本的解決のため、新たに多重債務に陥る市民を無くし、多重債務に起因する負の連鎖が起こらない社会が実現する事を強く希求し、今まで以上に相談体制を整える所存である。

 各地方自治体が、市民すべてが人間らしい生活を営むための権利の実現と、これを擁護・支援することを負託されているという使命を深く自覚し、多重債務に苦しむ市民が、経済的に再建できるように既に多重債務に陥っている市民、或いは陥る虞のある市民に対して、真に利用しやすい相談体制の確立を早急に実現させることを強く求める。
以上

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