今年の出来事として、個人的に残念に思った大きなものが、次の2つであります。他にもたくさんあるのですが、特に残念に思ったこととしては、次の2つが象徴的であったので・・・
1.司法書士が、過払い訴訟の報酬を一部しか申告せず・・・・脱税容疑・・・
新聞紙上に「過払いバブル」という言葉も出ていますように、一部(ごく一部と信じたいのですが)の司法書士は、一連の最高裁判決後、それまでとは比較にならないほど過払い金の返還が容易になったことに着目し、突然、大きな広告を打ち、過払いビジネスに参入するようになりました。私は、もともと、汗をかかずに楽をしたがる司法書士には常に批判的ですが、債務整理の中身(法改正や最新判例等に精通し、説明義務を果たし、低廉な報酬であること)がきちんとしており、依頼人との信頼関係が存在しているのであれば、何も言うことはありません。また、丁寧な仕事っぷりが評価されて、依頼人が増え、結果として受領する報酬が多額となっている司法書士も少なくないでしょう。
しかし、残念ながら、会に寄せられる苦情を見てみますと、何も言わないわけにもいかない・・・というのが現状であります。
特に近時目立つのが、過払い事案のみを受任し、ヤミ金事件はもちろん、再生・破産事案を避ける・・・という姿勢です。例えば、通常の消費者金融業者については着手金を1社2万円にし、ヤミ金融については1社5万円に設定する・・・という方法で、事実上、ヤミ金融事件を受けないという司法書士が少なくないようです(ちなみに、当事務所では、ヤミ金融事件は1社5000円のみで受任させていただいています。)。また、再生事件や破産事件は被害者の会に振る・・・という苦情も聞いています。言語道断と言わざるを得ません。
もちろん、報酬が非常に高額である・・・という苦情も少なくありません。一般に、過払い請求事件の成功報酬は過払い金の20%程度が弁護士の中でも平均的と言われているようですが、これを30%、さらに50%もの成功報酬を取っている事例も存在しています。ちなみに、当事務所では、過払い請求の成功報酬は当初より一律10%とさせていただいております。なお、法律扶助の基準は、訴外の和解の場合に10%プラス消費税、提訴した場合は、15%プラス消費税となっています。
多重債務問題い取り組む司法書士の皆様におかれましては、今一度、多重債務者改善プログラムの趣旨をご確認いただき、その趣旨に沿った適切な業務の遂行をお願いするものであります・・・・・
2.弁護士会が、行政の相談窓口へ、司法書士の法律相談に関する要望を提出・・・
これは、多重債務の相談事案の振り分け基準について、「相談者から聴取した、債権者主張の債務総額が140万円を超えている場合、弁護士会に振り分けるように」と自治体の相談窓口に要望した・・・というものであります。
誤解のないように念のため申し上げますと、私たち認定司法書士の代理権の範囲は限定的であり、例えば、200万円の過払い金請求訴訟について代理できないことは明らかであります。そして、代理権の範囲を超えている代理業務をすべきでないことは当然のことであります(しかし、一方において、司法書士の従来業務として、裁判所提出書類作成業務が存在しており、こちらには訴額の制限はありません)。
今回の弁護士会の要望について残念に思うのは、認定司法書士の代理権の範囲を狭く狭く解釈しようとしている点と、それが多重債務者改善プログラムの本旨と対極にある・・・という点であります。
まず、弁護士会の主張する基準は、確かに法テラスの振り分け基準でもあるわけですが、そもそもそれが誤りと言わざるを得ません。当初より私はこのブログでも指摘させていただいておりますが・・・
http://yoshinori.cocolog-nifty.com/zakkan/2006/10/post_2d60.html
http://yoshinori.cocolog-nifty.com/zakkan/2006/10/post_b932.html
つまり、140万円の範囲であるかどうかは、多重債務事件において、債務総額で判断するのではなく、1社ごとに判断するべきという点、また、債権者主張の債務額を基準とするのではなく、1社ごとに債務者が受ける経済的利益で判断すべき・・・というのが、そもそもの立法趣旨であることは、立法者の解説からも明白であります。
そして、そのような細かい点もさることながら、多重債務者改善プログラムの趣旨はどこにあるのか・・・という基本に立ち返ったとき、今回の要望書は、その理念と対極にあるのではないか・・という思いがします。貸金業法改正に関する日弁連主催のシンポジウムにて、あの大森参事官がおっしゃっていた言葉を思い出します。「多重債務問題に関して、弁護士会が、司法書士の代理権限を不当に制限するのであれば、それは多重債務者を見殺しにするのと同じではないか・・・」
弁護士会に再考いただくことは困難なのでしょうか・・・・
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