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2010年5月26日 (水)

利息制限法金利引下実現全国会議「改正貸金業法に関する内閣府令の改正」に関する意見

    「改正貸金業法に関する内閣府令の改正」に関する意見

 2010年5月25日
                            利息制限法金利引下実現全国会議
                               代表  弁護士 茆 原 正 道

 私達は、利息制限法の上限金利の持つ意味と現状の問題を調査研究し、実際の全国各地の引下げを求める活動と連携して、2007年3月4日から活動してきた、学者、弁護士、司法書士、税理士、被害者の会、一般市民の団体です。これまで、八戸(青森県)、三重、宮崎、三鷹(東京)、出雲、京都、札幌、徳島、熊本でシンポジウムを重ね、川崎大会を開く中で、全国各地の地方公共団体の後援を受けてきました。
 改正貸金業法の完全施行を目前にして、貸金業法施行規則を改正する内閣府令(案)に関する意見を述べます。意見の第1として本年4月26日付けで金融庁が「改正貸金業法に関する内閣府令の改正(案)」を公表し、意見募集をしているので、これに対し、当会議の今回の規則改正についての意見を述べ、第2として今回意見を求められている点に限らず、今後に改正を求める点に関する意見を述べます。

第1 今回の意見募集について
1 「総量規制に抵触している者の借入残高を段階的に減らしていくための借換えの推進」という立場には反対である。

   意見の理由

 現に総量規制を超える貸付を受けた者にとって、貸金業者の示す残高による借換えは不利益である。法12条の9によって、適切な相談窓口へ誘導されることによって、利息制限法による法律上の残高が名目貸付より少ないかもしくは存在しない事実が分かり、債務の減少もしくは消滅という利益が受けられる。
 仮に、貸金業者による借換えを許すならば、かつて制限超過の貸付けを受けた1400万人の借主のうち、現在も借入れのある大半の者にとっては、せっかくの債務圧縮ないし消滅の機会を逃すことになる。したがって、貸金業者自身による、総量規制を超える貸付について「借換え」という手法で問題の先送りを容認してはならない。
 もともと、「借換え」は歴史上古くから違法な旧債務を隠し、あたかも現在の新債務しか存在しないかのような見せかけで、利息の規制を潜脱する手法であった。
 「借換え」を金融庁は規制するべきであって、推進するなどということは、歴史の教訓を受け止めず、脱法を容認する手法を正当化する行為である。行政の為すべきことではない。
 「借換え」ではなく、「旧債務の違法を正す利息制限法の残高確認と返済方法の変更」を推奨し、それが真に借主の利益の保護に適うか否かを検証する仕組こそ作らなければならない。総量規制を超過する残高を段階的に減らしていくための手法として、「借換え」を推奨することそのものに反対する。
 なお、貸金業法第12条の9(相談及び助言)には、「貸金業者は、資金需要者等の利益の保護のために必要と認められる場合には、資金需要者等に対して、借入れ又は返済に関する相談又は助言その他の支援を適正かつ確実に実施することができると認められる団体を紹介するよう努めなければならない。」との規定がある。そもそも総量規制に抵触するようなケースは、明らかに「資金需要者等の利益の保護のために必要と認められる場合」に該当するとして、相談・助言機関を紹介することで対応すべき問題と考えられる。

2 現実に行なわれることが予想される「借換え」について規制を強化する条項を追加することについては賛成である。
 さらに、下記の条項を規則に盛り込み、これらが実効的に機能することを検証する仕組を、指定信用情報機関に利息制限法残高表示義務を貸すなどをはじめとして、整備することを求める。
(1) 借換えに際して、借換え前の債務について、利息制限法による充当計算を行い、その計算後の残高の合計額を借換え後の残高とすること
(2) 利息制限法による充当計算をした結果、貸金業者が自社の借換前の債務について過払金が生じていることが判明した場合には、過払金を自主的に返還するなどの措置を講じるべきこと
(3)借換えの際には、法律上の義務のない部分を含む借換えなど、資金需要者の不利益になる借換えを勧めてはならないこと。

   意見の理由

 現行の借換えも「個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約」に限り総量規制を超えることが出来るのであるから、解釈上は利息制限法上存在するものに限られる。また存在しない債務を借換えの対象とすることは法12条の6に違反する。しかし、明示された規制でない限り紛争の種になることが予想されるから上記の規制は必須である。

3 資産の裏付けがある貸付けや将来的なキャッシュフローにより返済能力がある貸付けについて、規則10条の23に定める「個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約」としての総量規制の「例外」から、同条の21の「個人過剰貸付契約から除かれる契約」すなわち、いわゆる「適用除外」に変更することについては、明らかな改悪であり反対する。
 さらに、現行のまま規則10条の23に留めるとしても、金融商品及び(居宅や生計維持に不可欠な不動産を除く)不動産を担保とする貸付について、年収の3分の1規制の例外とする場合は、「但し、担保を現実に売却する場合はその金額を超えて回収してはならない」という条項を付け加える規制を新たに設けるべきである。  

   意見の理由

 仮に、金融商品や居宅や生計維持に不可欠な不動産をのぞく不動産を担保とする貸付について、年収の3分の1規制の例外とする場合は、「個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない」限度で認められるべきであって、最初から「個人過剰貸付契約から除かれる契約」にすることについて、強く反対する。
 そもそも、金融資産についても、不動産についても、安定的な評価を受けられ、返済能力が確認できるならば、危険性の少ない貸付けとして銀行の融資の担保として適すはずである。常に規制の上限に張り付いてきた貸金業の歴史に照らし、改正法施行後も利息制限法の上限利率に張り付くことが予想され、その結果、銀行貸出平均金利の10倍の利息を支払うこととなる。かかる高金利で年収の3分の1を超えて貸し付けを受けた場合、その利息の返済は過酷なものとなることが予想される。
 略奪的な貸付の急増を招くおそれや支払能力を超える貸付を助長しかねないので、「例外」から「適用除外」とすることは反対である。
 また、滞納の結果売却に至り担保を失ったとしても、現状では利息及び遅延損害金は借主の債務として残されることとなる。
 それでは、遅延損害金取得目的で長期間放置したうえ、担保売却が殆ど遅延損害金に消え、担保による回収の後に残された年収の3分の1を大きく上回る借金の返済を生涯続けなければならない、という事態も場合も十分に予想される。
 また、担保の価値の下落という事態は返済能力を考慮した場合、当然想定されるべきであり、その場合担保価値の下落リスクは担保価値評価した専門家である貸金業者が負うのが商行為としても理に適っている。回収は担保価値を限度とするべきである。そのことによって初めて、年収の3分の1を超えても借主の利益の保護に反しない貸付けということができ、長期間放置による遅延損害金被害を防止することができると考える。また、担保価値の下落のリスクを借主に負わせるということは、一方的に返済金額が担保価値の下落に応じて増大することになり、総量規制の趣旨に反する。

第2 平成18年法改正に伴う内閣府令の問題点と改善の提言
 平成19年および平成21年に、総量規制をはじめとする貸金業法施行規則を改正する内閣府令がすでに制定され、6月18日施行を待つ段階であるところであるが、今回はさらに変更を加えるものである。今回案として出されていないが本来変更されるべきであると当会が考える点について以下に述べる。
1 個人事業者を3分の1規制からの例外とした現行規則10条の23第1項第7号(案の10条の23第1項第4号)は、廃止するべきであって、年収の3分の1基準は個人事業者についても厳格に守られるべきである。

   意見の理由

 事業者の借入れは、中小事業者も含め圧倒的な比率で、銀行、信用金庫、もしくは日本政策金融公庫といった低金利融資によって行なわれている。そして、一部貸金業者からの借入れが分かる場合には、銀行から貸しはがしを受けることが多かった。そして、常に規制の上限に張り付いてきた貸金業の歴史に照らし、改正法施行後も利息制限法の上限利率に張り付くことが予想され、その結果、銀行貸出平均金利の10倍の利息を支払うこととなる。中小企業の場合、統計上赤字の事業者が多い中で、黒字の事業者の現在の借入金額の平均、現在支払っている借入金の利息の平均、そして利益の平均の数字から、平均的黒字事業者の損益分岐点となる金利を算出することができる。全ての利益が借金の利息となって消え、赤字に転落する金利すなわち損益分岐点の金利は約11%であり、元本も利益から返すことの出来る金利はさらに低い(当会「高金利は社会を破壊する」日本加除出版)。
 事業者向けの貸付を行ってきた貸金業者、商工ローンは、事業者が倒れるまで高い利息をとり、保証人から元本を取るという仕組であったので、多くの凄惨な被害を出してきた。利息制限法の規制内の貸付でさえ、通常の健全な黒字の事業者を赤字転落させ、利益から返すことの出来ない返済の不足部分を借入れに依存する結果、ついには倒産に追い込まれ、保証人に多額の保証債務の履行請求がふりかかるという事態となることは、前記統計資料から明らかである。   
 40%ないし29%といった高利商工ローンに潰されることなく完済出来る事業者が潰される事業者に比べて少なかったことは、当然と言うことが出来る。平成15年に経済生活苦の自殺者数が9000人近くなり、最高裁判決を契機に少しずつ沈静化したのも、商工ローン被害の結果といえる。今後、15%の貸付であっても、銀行貸出平均金利の約10倍であり、個人事業者が安易に貸金業者から借入れることのないようにし、低金利融資の道を拡充することこそ、個人事業者の利益を守る方法である。
 したがって、中小事業者が赤字転落することなく健全な事業を営むためには、低金利融資であることが、必須の要件である。そのために必要なことは、貸金業者からの借入れを増やすことに向けた総量規制の緩和ではなく、銀行ないし日本政策金融公庫が、貸付をし易い制度、中小事業者の倒産を避けつつ経済的再起の力になる返済方法の改革こそが重要であって、この点については、改善がみられるようになってきた。
また、別途中小事業者向けのセーフテイネット貸付の充実が望まれる。
 しかし、貸金業者からの借入れが中小事業者の経営状態を軒並み悪化させてきた事実、そして、保証被害を多発させてきた事実に学び、これからは、貸金業者による事業者融資については、総量規制を緩和することなく、厳格に年収の3分の1基準が守られることが必要である。

2 個人保証人は保証人自身の年収の5分の1を超えて責任を負わないことを、規則に明記するべきである。

   意見の理由

 貸金業法改正に当たり、懇談会が開かれる中で、委員は現実の個人保証人の残酷な被害実態を直接聞き取った。その結果「保証人は個人であるので、過剰融資の年収規制をかけるべきである。個人事業者も同様である。」との意見が委員の大勢を占めた。なぜ、貸金業法改正の際に個人保証人を年収3分の1の規制にかけなかったのか、法の不備というべきである。法の不備は規則で補完しなければならない。
 事業者向けの貸付を行ってきた貸金業者、商工ローンは、事業者が倒れるまで高い利息をとり、保証人から元本を取るという仕組であったので、多くの凄惨な被害を出してきた。事業者の保証は多額になるため、個人の保証人にとっては、家を失い、退職金を失い、子どもの学費を失う、という切実かつ過酷なものであった。
 その結果、改正貸金業法成立後においても、借主が自己破産手続きを取る決断が出来ない事例や、保証人に迷惑を掛けまいとして自分に生命保険を掛けて自殺する例が多々現れている。
 保証会社を除く個人の保証によって、何の利益も得ないまま全財産を失うという悲劇が現在でも多数起きている。2002年、2005年、2008年の日弁連破産・個人再生事件記録全国調査において「保証債務・第三者の債務の肩代わり」が破産の原因とされている自己破産は、毎回25%を占めている。
 多額の保証債務に苦しむ保証人を出さない法改正こそが、憲法13条の幸福追求権自己決定権、25条の健康で文化的な最低限度の生活を営む生存権、そして、29条の不条理に財産を奪われない財産権を全うするものである。そして、貸金業法の規制の不充分な部分を補うものこそ、内閣府令である。

 返済のリスクは、金銭消費貸借契約の当事者が負うべきであって、保証人の生活に破壊的影響を及ぼす多額の保証債務を負わせるのは不条理である。借入金を実際に使用した借主でさえ、返済能力の面から年収の3分の1を超える借入れを規制される。まして利益を受けずリスクのみを負担する保証人は、自らの生活に対する影響を最小限にする権利がある。自然人を保証人とすることは最終的には禁止するべきであると考えるが、当面、過剰融資(年収3分の1基準の例外ないし事業収入加算及び適用除外)および高金利融資(利息制限法上限に近い貸付も高金利である)に由来するリスクは、これによって利益を得ようとした貸金業者が負うべきであって、過剰高金利貸付によるリスクを保証人に転嫁することは許されない。個人保証人の返済負担は借主よりも軽くなければならないので、当会議は個人保証人の年収の5分の1を超える責任を負わないことを規則に明記することを提言する。
 法人への貸付はそもそも年収の3分の1基準の対象とされていないこと、個人の事業者には総量規制の例外が設けられていること、そして事業収入の加算など総量規制の一部緩和が試みられていることから、保証人保護が後退することは許されない。
保証人の生活の破壊を防止し、年15%の金利を支払うことが出来ず、保証人を気にして自殺する借主の人命被害を防止し、安易に保証人からの回収を目的とする過剰融資が行なわれることを避けるためには、保証人自身の年収の5分の1を超えて責任を負わないことを規則に明記する必要がある。
 
3 規則10条の21第1項第4号の高額医療費を適用除外とすることそのものに
反対する。
 また、規則10条の23第1項現行第5号(案の第2号)で、医療費を年収3分の
1規制の例外とすることそのものに反対する。

   意見の理由

 医療費の支払に苦慮する場合、利息制限法上限に近い金利で借入れを行なうならば、その返済のために借主の生活状態を悪化させる。
 年収の3分の1迄であればなんとか利息の他元本を3年で返すことができるとしても、医療費ならばそれより多額に借りることが出来る、という場合に、次は金利の支払が大変になり、元本が減らないという事態となる。
 一見すると高額医療費が還付されるまでのつなぎとして借入れる場合を「個人過剰貸付」の対象から外してもよいように見えるが、間違っている。
 無利子の高額医療費貸付け制度がある以上、一旦支払うべき医療費がないという困った状態の人に営利目的の貸金業者が貸付を行なうべきではない。貸し付けることにより、年15%等の利息を取るということは、借主の苦境に乗じた専ら貸金業者の利益のための貸付けでしかない。医療費も同様である。

4 総量規制の例外となる事実に関する調査資料の保存期間は、新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時から10年とすることを求める。最終弁済日に債権が消滅することにより終了するものとすることには反対である。

  意見の理由

 貸付けが著しく「個人顧客の利益の保護」に反する場合、かかる借入れ等の効果として、債務弁済義務の存否が問題となる場合がある。また、遅延損害金を借り換えた場合など、前の債務につき総量規制違反の貸付であったか否かが問題となりうる。借換え後の請求が果たして信義則違反にあたるか否かという判断の前提事実として、いかに旧債務が返済で終了していても、旧債務についての調査資料も保存していなければ、かかる場合の証明手段が借主から奪われることとなってしまいかねない。

5 借換えにかわる規制
 総量規制を超えた借主に対しては、最終弁済日までの利息制限法の元本を、月々分割して返済する際に、将来利息を付けない任意整理の提案に対しては、これが著しく長期となるなど不相当なものでない限り、これに応じるべきことを義務化することを、借換えの推奨に変えて明文で規定することを求める。

   意見の理由

 総量規制に牴触する場合には、貸金業者は適切な相談窓口に誘導するべきである。さらに、それにとどまることなく、貸金業者に対して、債務整理応諾義務を規則の明文で課すべきである。従来は弁護士などの任意整理の基準として、利息制限法の残高を、返済できる月額に割って、遅延損害金も将来利息も付けることなく、分割で返済する方式が確立し、任意整理によって大勢の人が立ち直ることが出来た。しかし、現在は、将来利息や遅延損害金を請求する貸金業者がこのルールを破壊しつつある。行政が為すべきことは、適切な相談窓口への誘導にとどまることなく、貸金業者に対して従前と同様の将来利息を付けない「債務整理を応諾するべき義務」を課すことも必要であって、これをもって借換えの推奨に代えるべきである。
 6月18日の改正法最終段階施行時には、相談者の救済の効率化が求められている。そのような中で、現在のまま債務整理が困難な状況が続くならば、大量な相談者に対応が困難となる事態も予想される。総量規制に抵触し途方にくれた人々に関する債務整理を一層容易にする上記の改正を求める。

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