なぜか突然、無性にマイケル・ムーア氏の「華氏911」をまた観たくなって、乱雑に積み重ねられたDVDの山の中から、探し出し、食い入るように観たのです。大きな話題となっている映画ですから、ご覧になった方も多いと思いますが、一応レビューを引用させていただき、その概要を・・・
『2001年9月11日、アメリカのニューヨークとワシントンをハイジャックされた旅客機が襲うという前代未聞のテロ事件が起きる。やがてテロの実行組織がオサマ・ビン・ラディン率いるアルカイダと判明、ブッシュ政権は犯人を捕まえるためアルカイダが潜伏するアフガニスタンを攻撃する。しかし一向にオサマ・ビン・ラディンを捕えられないまま、いつしか戦場はイラクへと移っていった…。一連のブッシュ政権の行動に疑問を抱いたマイケル・ムーア監督は、豊富な事実を基に様々な角度からその真相を明らかにしていくのだった。 』
何度観ても、実にいやーな気分、どうしようもできない厭世観というのでしょうか、そうしたものに覆われてしまうわけですが、この規模(最大級の規模といってもいいでしょう)になりますと、もう笑うしかない(泣)・・・とうことで、コメディ・タッチになっているのは手法として正解だと思った次第です。
まず驚くのが、911の直後、ブッシュ政権は、ラディン一族のアメリカからの帰国を許可しているということです。リッキー・マーティンでさえ足止めを食らったというのに。その背後には、お父さんブッシュの時代から、ブッシュ一族やブッシュ政権を支える軍需産業などのスポンサーがラディン一族であったという事実があるわけですが。
そして、オサマ・ビン・ラディンを燻し出すと意気込んでいたブッシュは、一方で、オサマ・ビン・ラディンを捕まえることは大したことではないと発言をしている・・・・その後、なぜか、標的はイラクに・・・
もう支離滅裂だし、何がなんだか分からないなあ・・・と思いながら観ていたのですが、挿入されるブッシュやその側近たちのコメントとそのコメントを発する姿勢が、完全に「強者の論理」であり、また何故かとても能天気に映ることに得体の知れない恐怖を感じていることに気づき、あれ、待てよ、そういえば相当前に購入して、はしがき程度しか読まずに積んでおいた本(こういう本がむちゃくちゃ多くて、親族に大きな顰蹙を買っています(泣))の中に、「ネオコンの論理」という本があったなあと思い出した次第であります。というわけで、そちらは記事を改めて。
とにかく濃密な2時間であっという間なんですが、オノ・ヨーコやシャロン・ストーン・ジョディ・フォスターらがこの映画を絶賛する一方、映画の中でも真顔で、「ブッシュは正しい」と主張するブリトニー・スピアーズがいたりして、セレブの政治的姿勢も様々なようです。
「プラトーン」にも同様の描写がありましたように、実際に戦争に行くのは、名も無い小さな、経済的に極めて恵まれない街の若者であるのが事実です。「プラトーン」の主人公は、そういう現状、一部の富裕層の権益を守る若者は全く富を持たない階層の人間であることに疑問を持ち、中流以上の階層でありながら自ら志願してベトナムの最前線に行くわけですが、この映画では、監督自ら、議員に「あなたの息子をイラクに派兵させますか?」というストレートな質問をしています。もちろんその答えは「NO」です。守るべき財産を多く持つ人間がのうのうと・・・・いや、止めておきましょう。これが戦争の実体というものなのですから。
最後に、アメリカの「愛国者法」について。個人のメールや銀行取引の記録、図書館の貸出し記録等、プライバシーにほとんど配慮することなく、情報収集の権限を政府に認めたこの法律、法案の段階で深夜に書き換えられ、その結果、ほとんどの議員が人権保護規定の削除に気づかず決議されているとのこと。実際、映画の中でも、議員が、「法案をきちんと読む時間なんてあるわけない!」と断言しています。
もちろん、ブッシュ側の議員は、「偏見に満ちた映画」ということで観る価値もないとしていますが、皆様はどう評価されますでしょうか・・・・
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