20年以上にわたって、証券化の実務に携わっている大澤先生の著書であります。大澤先生には、クレディア問題についても、多くの示唆をいただいており、とても勉強になっています。
本書は、クレディア問題ではなく、アメリカのサブプライム問題がテーマとなっております。
私などが言うまでもありませんけれども、サブプライム問題とは、一言で申し上げれば、『アメリカにおける、サブプライム層(低所得階層など)向け住宅抵当ローンを担保にした証券化市場の崩壊と損失拡大』ということになりましょう。キーワードは「証券化」です。
大澤先生は、「サブプライムを含め、住宅モーゲージの7割が証券化されるとき、本来独立した別々の市場だった貸付市場と証券市場、直接連鎖した。」とし、「詐欺と略奪が貸付市場で起これば、金融の市場化により、商品上の欠陥が証券市場に直接伝播する」と喝破されています。そして、そのスタンスは、サブタイトルに「詐欺と略奪のメカニズム」とあるように明確であります。
本書は、サブプライム問題の原因がどこにあったのかを探求することを目的とされています。そして、アメリカの議会の意思は、金融業界の営業利益拡大の資本主義経済の犠牲者、騙された債務者保護の優先に向かっている・・・・と指摘します。
とても私のような初心者向けの書籍ではありませんので、時間をかけてじっくり読まなければ十分な理解は不可能でしょう(汗)。あー時間が欲しい。しかし、サブプライム問題を扱う書籍の中でも(ほとんど読んではいませんが)異質であり、それ故に、示唆に富むものではないかと思っています。読むのはこれからですけれども・・・(汗)
クレディアの民事再生申立事件は、このブログでも紹介しているとおり、消費者金融業者が貸付債権を証券化し、資金調達をしていたという事実が、まさに法律実務家の目の前に叩き付けられた事件でもありました。そして、既に多くの専門家が指摘しているように、日本版サブプライム問題とも言える類似点が多く存在しています。私見を述べれば、①まさに対象がサブプライム層であること、②そのローンを証券化し、投資家が購入していること、③そのローン自体に欠陥があることの3点であります。
仮にそうであれば、我が国の証券化のモデルとなっていると思われる、アメリカのこの問題の原因を探求することは、極めて重要であり、その問題の対処法についても同様のことが言えましょう。
多重債務問題に取り組む司法書士には是非お読みいただきたいと思います。私も頑張ります・・・(汗)